好きなんだから仕方ない。
2016年 12月 25日
そのことを知ったのは、まだ俺がサンタクロースを信じていた頃。
クリスマスの朝、サンタクロースがクリスマスブーツのお菓子をクリスマスプレゼントと共にくれた。
うちはよっぽどのことがないとお菓子を買ってくれる家ではなかったので、クリスマスブーツの中に入っているたくさんのお菓子がとても嬉しかった。
もちろんクリスマスプレゼントもだけど。
その大切なお菓子を1つずつ1つずつ味わうように食べていたある日、ブーツの中に入っていたはずのボンタン飴が消えた。
真っ先に、俺は弟・陽太を問い詰める。
たぶん鬼のような形相で。
僕のボンタン飴食べたでしょ!
陽太は知らないと言っていたが、そんなはずはない。
だってボンタン飴がないんだもの。
しかし、陽太は譲らない。
知らないよ!
ふざけんじゃねーと陽太とケンカをしていると、母が駆けつけてくる。
陽太は泣いている。
ケンカの理由「ボンタン飴がなくなった」ことを母に伝えると、母は笑いながら言う。
あー!
あれ、私食べちゃった♪
え?!
ちょっと待って、あれは僕がサンタさんにもらったんだよ。
だって
好きなんだから
仕方ないじゃない♪
俺はまだ幼く、この言葉を知らなかったが、もしかしたら生まれて初めての理不尽を経験したのはその時かもしれない。
全く身に覚えがないのに俺に泣かされた陽太の方がもっと理不尽さを感じたと思うけど。
大人がそんなことするなんて思わなかった。
大人が人のものを勝手に食べてしまうなんて。
しかも、
好きなんだから仕方ないじゃない。
で........
その後、何をどうしたのかは全く覚えていない。
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